「人だけでは限界がある。そのタイミングでAICALLの提案をいただきました。」
そう語るのは、株式会社NR 常務取締役 登録販売者の小泉氏です。20代から90代まで幅広い年齢層に医薬品・スキンケア・雑貨を届ける同社は、以前「BOTCHAN Keeper」と「BOTCHAN AI(チャットボット)」の連携によって解約導線を最適化し、クレーム件数を約40%削減した実績があります。(前回記事「解約導線までBOTCHAN一本化! データ連携で一貫性ある顧客体験を実現」参照)
その後、高齢層向け商材の新規獲得が伸びたことで、コールセンターは新たな課題に直面していました。本記事では、導入の背景から医薬品ECならではのシナリオ設計の工夫、導入後に生まれた変化までを伺いました。
担当者紹介:現場から経営まで、変わらぬ「プレイヤー」としての立場
小泉氏: 「CRM・SCM・フルフィルメントのプレイヤーとしての担当は前回と変わりなく、経営面にも関わらせていただくようになりました。もともと収支自体は以前の役職からずっと見ていたので大きく変わったという感覚ではなく、より長期的な目線で会社全体を見る機会が増えてきたところです。」

株式会社NR 常務取締役 登録販売者 小泉 智美氏
導入前の課題と背景:新規獲得の拡大が、電話対応のキャパシティを超えた
小泉氏: 「Keeper(解約防止チャットボット)やチャットボットで来ていただいたお客様には十分対応できていた一方、高齢層向けの商材の新規獲得が伸びたことで、そうしたお客様は電話に流れてしまう場面が想定より多くなっていました。コールセンターの拠点移管や拡大で受け皿は広げてきたのですが、欠勤やインフルエンザの流行、台風といった要因で人員が減ると、電話に流れてきたお客様への対応が難しくなることがありました。特に週明けの月曜午前は問い合わせが集中する傾向が強く、対応しきれない場面がありました。人だけでは難しいと感じていたタイミングでAICALLのご提案をいただいたので、良い機会だと思い参加させていただきました。」
この課題を、株式会社wevnal「 BOTCHAN AICALL」事業責任者の森川は次のように振り返ります。
森川: 「リソースには限りがある中で、電話がつながらないという体験をゼロに近づけられるのは普遍的な価値だと思っていました。一方で、NR様にとってAICALLは初めての取り組みだったので、事故を起こさない、エンドユーザーに失礼のない対応ができるか、という部分は特に慎重に見ていました。人が足りない、電話がつながらない、コストがかさむかもしれない——課題ははっきり見えていましたが、それを一緒のベクトルで解決しようとしていただけたのは、本当にありがたかったです。」
サービスとの出会いと導入の決め手:「100%人間の代替でなくても、役割分担が見えれば必ず役に立つ」
小泉氏: 「正直、『本当にできたら良いな』という期待と、『人間と同じレベルまで行けるのか』という不安の、相反する2つの気持ちがありました。AICALL自体にまだ馴染みがなかったので、どこまで対応できるのかは分かりませんでしたが、100%人間の代替に至らなくても、役割分担が見えるようになれば必ず役に立っていただけると考え、導入を判断しました。」
これまでのBOTCHAN各プロダクトでの対応実績と信頼関係も、導入への抵抗を小さくした要因のひとつです。人員だけを増やしていく運用にはコスト面の懸念もあり、その両面から検討を進めたといいます。
導入初期にどこまでの成果を求めるかについて、森川はこう説明します。
森川: 「解約の対応自体は、AIでも人でも誰かが受けなければいけない仕事です。将来的には解約を思いとどまっていただく応対の質も高めていきたいと思っていますが、導入初期の期待値としては、まずリソースの確保と応答率の確保を優先していただくという考え方で進めました。」

導入プロセスと実行時の判断軸:医薬品ならではの"線引き"にこだわった要件定義
シナリオ設計にあたっては、解約防止チャットボット「BOTCHAN Keeper」で管理していた解約条件データを土台に、CS担当とすり合わせながら要件を固めていきました。
小泉氏: 「解約の可否条件はすべてKeeperに格納されていたので、そちらを参考にしていただきながら、担当の方とすり合わせを進めていきました。うちは基準やルールを大切にしている会社なので、細かい部分まで『ここはどうしますか』と一つひとつ確認しながら丁寧に設定していただけたので、この人はAIに対応させてはいけない、という切り分けまでしっかりできて、安心して導入を進められました。」
要件定義がどれだけ緻密に進んだかは、森川の言葉からも伝わります。
森川: 「解約希望の入電はどうしても本人確認が必要で、契約内容をリアルタイムに参照しなければいけません。配送のリードタイムや各社が大切にされているブランドポリシー、通話後にステータスを書き換える権限をどこまで持たせるか、といった要件は、詰めていくたびに増えていきました。人とAIがハイブリッドに接客体験を提供できると信じてはいましたが、お客様の立場からすればリスクでしかない部分もあります。契約ステータスを誤って書き換えてしまうようなクリティカルエラーのリスクをどれだけ潰し込めるか、そこに一番苦労しました。」
医薬品(医薬部外品)を扱う特性上、通常のやり取りに関するシナリオ設計はスムーズに進んだ一方、どこからを「健康被害につながるリスク」としてAI対応の範囲外とするか、という線引きの判断には双方で特に力を注いだといいます。
導入後の成果・得られた価値:欠勤時も繁忙期も、応答率を落とさない体制へ
導入後は、コールセンターの現場で判断いただき、人員の稼働状況に応じてAICALLの対応比重を柔軟に調整できるようになりました。AICALLの比重は自動で決まる仕組みではなく、コールセンターの現場が日々の呼量や人員状況を見ながら判断し、柔軟に調整する運用です。平日は入電の一定比率をAICALLが担い、問い合わせが特に集中する土日祝日明けの曜日は比重をさらに引き上げるなど、時間帯・曜日ごとに細かく比重を変える運用を続けています。その結果、新規獲得の拡大により入電数が増える中でも、コールセンターの人員体制を大きく増強することなく、応答率は90%台を維持できています。
小泉氏: 「人がいなくなってしまう場面でAICALLの比率を上げるといった、柔軟なバランス調整ができるようになったのが目に見えて助かっています。先日の自然災害の際も、電話受付を完全に止めることなく、ボリューム層のお客様への対応を続けられました。ゼロにしなくて済んだことは本当に大きかったです。」
森川:
「比重の調整は弊社側だけで決めているものではなく、コールセンターの現場の皆さんが日々の呼量や体制を見ながら判断してくださっている部分が大きいです。現場との連携があってこそ実現できている運用だと感じています。」

その上で森川は、当時の状況をこう振り返ります。
森川: 「理論上はそうなるだろうと想定していても、実際に何が起きるかは分かりません。大企業でもBCP対策の一環に組み込まれていないケースがある中で、備えがあったことは私たちにとってもありがたい出来事でした。」
小泉氏はさらに、会話データから見えてきた発見についても語ります。
小泉氏: 「会話データを見て、当たり前だと思って使っていた言葉が意外と伝わっていなかったり、想像以上に話を最後まで聞いていただけないお客様がいることが分かりました。オペレーターの方だとうまく立ち回ってくれる部分もあって見えていなかった、お客様の本来の気質のようなものが見えてきたのは、良い意味で発見でした。自動音声のような一方通行ではなく、お客様の質問に対してAIが考えて返してくれるので、決まったシナリオ通りではなく柔軟にやり取りができる点が良いところだと思っています。」
現場のオペレーターの心境にも、変化が生まれていると小泉氏は感じています。
小泉氏:
「オペレーターと直接話す機会はあまり多くないのですが、呼量がひっ迫した際に、自分たちだけで乗り切るのではなく、AI CALLも活用できる安心感から、少し気持ちが楽になっている部分があるのではないかと感じています。」
対応の記録という観点でも、AICALLならではの強みがあると森川は話します。
森川: 「コールセンターのBPO会社さんのレポートに同席させていただくこともありますが、対応後に人が集計してまとめる分、記録の粒度にはどうしてもばらつきが出てしまいます。AICALLは事後的にも検証の軸を入れられますし、対応内容を100%ログとして残せる。電話というアナログな接点がデジタル化されている土台の良さを感じています。」

今後の展望・注力する取り組み:人とAIの役割分担で目指す、本来の接客体験
小泉氏: 「本当はお客様ときちんと話すということをやりたいのですが、量が多い分、コールセンターにもKPIがあってなかなか話しきれない現実があります。AICALLが人間と同じようになることを期待しつつ、そこに至らなかったとしても、本来やりたかった人と人との接客に近い体験を、役割分担なのか協業なのか、色々な形で実現していきたいです。AICALLは一律にテストができるので、解約抑止のトークも担当者によってばらつきが出てしまう部分を、AICALLで検証した良い言い回しをオペレーターの方にも展開していくような形にできたらと思っています。どこが課題で、なぜそれが起きているのか、どう対策するのかまで先回りして報告していただけるので、少数精鋭でやっている分、細かいところまで行き届かない部分を拾っていただけているのは本当にありがたいです。」
こうした「役割分担」の先にある姿を、森川はこう表現します。
森川: 「AIに全部任せる、人にしか任せない、という二項対立ではなく、その間のグラデーションの中で、企業ごとの事情に合った配分を見つけていくことを目指しています。NR様との取り組みも、その最初の到達点の一つだと考えています。」
同じ課題を抱える企業様へのメッセージ
小泉氏: 「通販の会社は新規獲得が伸びたら一気に伸びるという変化の大きさがあるので、そこに合わせて人をすぐに増減させるのは難しいものです。一度設定してしまえば柔軟に対応いただけるAICALLのような仕組みを備えておけば、電話がつながらないという問題は、100%でなくてもある程度は解決できると思います。災害のようなことが起きた際のリスクヘッジとしても、拠点を増やすよりコストの面でAICALLの方が良いと感じています。まずは持っておいた方がいいとおすすめしたいですね。」
「BOTCHAN AICALL」は、コールセンターの人員体制に左右されず、応答率を安定させたい企業様に向けたAICALLサービスです。医薬品・通販業界に限らず、電話対応の逼迫にお悩みの企業様は、ぜひ一度お問い合わせください。



